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太陽は「左」から昇っているんじゃないの?

「小学生の4割「太陽が地球を回ってる」 国立天文台調査」というニュースがありました。

 そうは言うけどね。「地球」って言われて、イメージできる?

 ガッツ石松氏は、太陽が昇る方向を「右」だと言ったそうだけれど、小さい頃のわたしにとって、太陽は「左」から昇るものだった。だって、窓の外を見ると、朝は左の方が明るくて太陽があって、夕日は右の方にあって、それで暗くなって沈んでいくのだから。
 その後で、太陽は東から昇り、西に沈むという知識が身に付いた。すると困ったことになった。東と西を、つい逆にしてしまうのだ。北を正面にすると、左は西、右は東だ。しかし、わたしにとって太陽が昇ってくる方向は「左」だったから、つい、「左は東」と思うようになっちまった。
 その理由は簡単、窓が南向きだったせいだ。
 その癖は未だに直っていない。いちいち「左が東、じゃなくて、日本列島は北を上にして左曲がりで、そっちを西日本と言うから、左は西」と、修正しなきゃならない。めんどくさいったら。

 太陽は、ある場所から出てきて、昇っていって、ぐるりと回って反対側に降りていって沈む。地上のどこに行ってもね。だから、太陽が昇ってくる場所や方向、太陽が沈む場所や方向は特別だった。
 一カ所に留まっている人たちにとって、太陽は特定の場所(例えば何某山)から昇り、特定の場所(何某谷)に沈んでいた。そこは神聖な場所になったに違いない。太陽はそこで毎日生まれ、毎日死ぬ。そして、甦る。
 移動して暮らしている人たちにとって、太陽はどこに行っても必ず同じ方向から昇り、同じ方向に沈んでいく。昇る角度は少しずつ変わってもね。だから、その方向が特別になった。
 太陽が昇る方向には「東」という名が、沈む方向には「西」という名が付いた。

 月はもっと不思議だった。太陽がだいたい30回昇ったり沈んだりする間に、だんだん見えてきて、大きくなって、丸くなり、欠けていって、消えてしまう。しかもそれに合わせるかのように、身体の調子が、特に女性たちでは顕著に、周期的に変化していたかもしれない。だから、時間を計る1つのスケールに「月」ってのができた。

 ちょっと事情が違う場所がある。そこでは1年のうちのある時期、太陽も月も自分のまわりを右方向に1周しやがる。別の時期になると、太陽は昇りもしない。夏至の祭りや冬至の祭りは本当に切実だった。特に冬至。で、クリスマスになるのだ。早く太陽さん甦ってくれってね。
 その場所を、北半球では北極圏、南半球では南極圏という。でも、南極圏には南極大陸しかないと言ってよく、人が住んでいない。北半球では、北極圏でも平気で人が暮らしていた。前からね。そんな場所のその時期では、西も東もあったもんじゃない。太陽は、昇らないし、沈まないからね。

 私ら…陸上の動物にとって、「地球」はイメージの埒外でしょう。あるのは「固くて大きく広がっている地面」だからね。私らのまわりにある「大地」は。(こういうときのまわりを、「生態学的環境」と呼んでいる)そんなところで、太陽が地球を回っているのか、地球が太陽を回っているのかなんて言うこと、考えられる?「太陽も月も、ある場所(方向)から昇ってきて、どちらかに偏って自分のまわりを回っていき、ある場所(方向)に沈む」しか、生態学的環境にはないのだからね。

 でも、農業をやっている人たちは、ずっと空を見ていなければならなかった。特に、夜。なぜって、1年を通して、いつ種をまいて、いつ水をあげて、いつ収穫するかを知るには、空にある星を読まなければならなかったから。天気がどう変わるかを見るにも、どちらから雲が来て、どちらから風が吹くと、雨が降るとか、からからになるとか、嵐になるとか判断しなければならなかったし。それが星占い(西洋の黄道12星座を使うのも、東洋の星宿も)で、天文学の最初だったんだろうね。天気を読む方は、「風読み」とか、「気象台」とかの最初になったかもね。

 一方、海を渡る人たちや、陸を移動し続ける人たちも、空を見ていなければならなかった。どこに陸があるのか、どこにオアシスがあって、どこに街があって、自分たちがどこにいて、どこに向かっているのかを知るには、昼間は太陽がどこにあるかで時間と場所を調べなければならなかっただろうし、夜は星を見て方角と位置を確かめなければならなかったから。そうしているうちに、北極星が見つかったんだろうね。だって、ずーっと見ていても、どんなに時間が経っても、そこだけ動かないで、星がそのまわりを回っているのだもの。

 そうやって、空を見上げて、1年の動きを気にしている人たちにとって、太陽のまわりをこの地球が回っていると言うことはとても重要だし、当たり前のことになっていったのでしょう。そうでなければ、予測(占い)が正確にできないもの。それは、「1日」のスケールで「地上」ばかりに生きている子供たちにとっては、違うスケールの話なのだろ思う。何せ、「1年」のスケールで、「空を見上げる」ことで成り立つのだから。

 順番が違うんだ。「太陽はどっちから昇る?」って聞いたって、「東」って答えるのは、知識を持っていると言うだけかもしれない。「太陽が昇ってくる方向を、何て呼ぶ?」の方が、まだいいんじゃないかな。
 地球が太陽のまわりを回っている、ということを説明するのは、とても大変だよ。地球の上から見ただけじゃね。木星を望遠鏡で覗くとか、そういうことがないとね。

 視点を変えることを身につける。それがとても大事だと思う。

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