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マリみて・可南子ちゃんについて(2)彼女が抱えていた矛盾と罪悪感の可能性

可南子ちゃんが「涼風さつさつ」に置いて祐巳の背後霊になっていた動機として、彼女をずっと責め続けさいなんでいた、かなり強い罪悪感があった可能性について書こうと思います。ここのところ書く気がなかなか出なかったのですが、急いだ方がいいと思いまして。
ワトソンさんの「マリみてTT」(「マリみて」タイムテーブル作成をしているサイト)に書き込んでいるときにも考えていました。そこで出た話題が、「可南子ちゃんは、祐巳が『男の毒牙』にかかるのを未然に防ぐために、勝手にボディガードをせずにはいられなかった』というようなことです。ここには、矛盾した好意(愛着)と憎悪をともなう強迫的な動機があったように感じられます。それは、「涼風さつさつ」を読み直すと、例としてあげられる部分があります。

(1)「それとも行きたいんですか」
(2)「だって心配だったんですもの」祐巳:「心配だから、後をつけるの?心配だから、私のことも監視するの?」可南子:黙っている
(3)「そんなことは望んでいないんです」
(すべて「涼風〜」P.138-148温室にて)

このときの可南子ちゃんの思いを考えてみたいと思います。ただ、これの根拠は、お母さんのことを推測したときよりもその根拠は弱くなります。

事実:
(1)父がよりによって高校生(夕子先輩)を妊娠させた・その結果(?)夕子先輩は退学した
(2)「男なんかいらない」と言っていた、男嫌いだったはずの夕子先輩が、よりによって父の子を身ごもり、結婚までしてしまった

矛盾:
(1)男嫌いだったはずの夕子先輩が、よりによって父に「無理矢理妊娠させられた」→「男の大半は最低な生き物」
(2)男嫌いだったはずの夕子先輩が、よりによって父と「結婚した」。しかも、その子を産んでいる。父は母と正式な離婚までして、夕子先輩と結婚した→「男なんかを庇われるんですか、祐巳さまも」

循環と恐怖の発生:
「純真無垢な「夕子先輩」(およびそれに準じる祐巳)は、無防備である」
「無防備かつ無垢な先輩は、最低の生き物(男)といると、無理矢理妊娠させられる」
「その人自身がその男と結婚し(=好きになり愛し合い)、男を庇うようになる」
→大好きな父も、大好きな夕子先輩も、安全(安息)な場所も、すべて同時に失う恐怖
参照:記事にするべからず「実際はもう少し辛辣でしたが」

罪悪感の発生:
「父と離ればなれになった・母は父を嫌っている(*推測)」
→自分がしっかりしていなかったから、大好きなお父さんが出て行った(追い出された?)
「夕子先輩を父から守りきれず、妊娠・退学に追い込んだ」
→自分が父と一緒にいれば、こんなことにはならなかった/「計画性なんて言葉とはほど遠い場所にいるよう」な(「特別でない〜」P.121 l.7)うかつな先輩を引き留め、不甲斐ない父と一緒にさせないために、自分が先輩を止めなければならなかった
→気づかなかった・できなかった自分が一番悪い

強迫的動機の発生:
「私が護らなければ(近づくものをすべて撃退しなければ)祐巳さまは穢れる。今度こそ無垢なものを穢れさすようなことがあってはならない」

結果の行動:
心配からつけ回し、近づく者を威嚇する

こんなところでしょうか。しかし、可南子ちゃんは外進生としてリリアンに入ってしまうような子です。相当に理解力や洞察力があると見ていいのではないでしょうか。とすれば、この矛盾したことに、気づいていた可能性があります。そのため、温室の一件以来無視を決め込むことになったかもしれません。罪悪感や矛盾の苦しさがあったからこそ、祥子様に指摘されただけで、つけ回すのを止めることができた、とも言えます。
このときの祥子様の行動も非常に面白いことがあるのですが、それは記事を改めることにしましょう。

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コメント

可南子ちゃんがストーキングをやめたのは、あの時点で「理想の祐巳さま」が、男にではなく、すでに「目の前にいる祐巳自身」に、けがされてしまったと感じたからではないでしようか。その結果は、可南子ちゃん自身の気持ちは(父親のときのように憎しみではなく)無関心へ変化したのでしょう。ただし、その後の変化は疑問が残ります。ツーショット写真ぐらいであそこまで熱心になったのはなぜでしょう。夕子先輩とは似ていても、そっくりと言うわけではないでしょうに。今後、可南子視点での補完(番外編?)が書かれると嬉しいのですが。

投稿: ワトソン | 2004年10月15日 (金) 18時19分

ごきげんよう。
作品本文では、可南子ちゃんは確かにそのように言っているのですが…何かこう、私にはまだ納得できないというか、染み込んでくるようにわかるものではないんです。それでいろいろこう、考えているときに浮かんだのが、「罪悪感」という言葉とか、今では「コンフリクト(矛盾)」などなのです。可南子ちゃんが抱えた彼女自身の中に抱える「不具合」は、大変なものだったことは、「特別でない〜」の保健室の場面などでわかりますから。
ここで私が気にしているのは、「涼風〜」での祥子様の対応、「レディ、GO!」の祐巳に言った「構わないで」「放っておいて」という言葉です。「きたない」「嫌いだ」とは、ニュアンスが違うように感じるのです。また、「不信」とも違う印象があります…印象だけですから、推測にもならない気もしますが…ひっかかります。
可南子視点、確かに読んではみたいものですね。ただ、どうにかして見えるところを、できる限りモク拾いのように拾い上げるのは、受け取る者の知恵かしらね、なんて。偉そうなことを申しますが。
失礼いたしました。

投稿: 冬紫晴(管理者) | 2004年10月16日 (土) 18時04分

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