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マリみて・瞳子ちゃんのこと(2)祐巳に対すること(1)邪魔者?偶然?

 私が教会に行っているのは、別にその、キリスト「教徒」ではないので…ある種の熱病のようなものですね。ただ、一番なじみがある宗教であり、また教会での葬儀が一番気に入っているから、ですね。無宗教形式の「送る会」に一度出たとき、その味気なさ、空虚さにすっかり幻滅してしまいました。あれでは、生きる知恵も信じる勇気も湧いてくるものではありません。
 それはさておき。

 瞳子ちゃんのことについては、「好きになれない」一番大きな要素として、「BGN」〜「レイニーブルー」にかけての、祐巳に対する態度にありましょう。それ故に、「祥子さまと祐巳の中の邪魔をした」と見なされることが多いです。その一方で、「パラソルをさして」の後書きには、作者自身「瞳子ちゃんはそんなに悪いことをしていないと、私は思うんだけど(Pp.212)」と書いています。これは何故なのでしょう。エピソードとしては順不同になってしまいますが、まず懸案の「レイニーブルー」から考えてみます。長くなるので、何回かに分けます。

・偶然ではない交差‐環境による制限
 「レイニー」に関して、瞳子ちゃんは祐巳の邪魔をしていた、あるいは祥子の妹の座を狙っていたというコメントに対し、「それは偶然の出来事が重なったのだ」という擁護のコメントがあります。しかし、そこまで偶然が重なるというのは滅多になく、それ以外の何らかの要素があったと考えた方がよいでしょう。それを考える上で、瞳子ちゃんがどのような意図や目的を持って祥子にこびるように甘えていたか、ということを推測する前に、まず、人間関係以外の条件を押さえておかなければなりません。
 「レイニー」で、瞳子ちゃんは祐巳が祥子さまに会おうとする場所、時間を選んでいるかのように現れます。これが「邪魔をしにきている」と見える一因です。しかし、瞳子ちゃんと祐巳が祥子さまに会おうとするとき、どうしたってバッティングしてしまわざるを得ない状況があるというのが最も大きな原因としてあげられます。
 「マリみて」は、主にリリアン女学園高等学校という、学校を舞台にした物語です。これが大きな制約となります。学校での7割方の時間は授業で占められており、その間生徒の行動は強く制限されます。この学校はまじめな校風を持ちますから、授業をさぼるということが頻繁に起こるような学校としては描かれていません。だから、その制約はなおさら強いものとなります。学年が異なる場合はなおさらです。
 そのため、選択授業などは別にして、クラスメイト以外とのコミュニケーションは、ある時間帯に集中せざるを得ません。始業前、休み時間、昼休み、放課後です。部活動が別である場合、放課後もまた拘束されますから、さらに限られてきます。また、誰かに会おうとする場所も限定されます。教室の前、昇降口、校門付近、リリアンではマリア像前、山百合会幹部メンバーでは薔薇の館およびその前、昼休みのみ限定でミルクホールです。授業の間の短い休み時間では、まず教室の前に限定されます。また、薔薇の館およびその前で出会う時間帯は、昼休みと放課後にほぼ限られるのです。昇降口やマリア像前で出会うのは、始業前の登校時・放課後の下校時に限られます。
 こういった制限をきちんと整理していくと、その組合せも極限られてきます。祐巳が祥子と一緒に帰ろうとするとき、必ずと言っていいほど瞳子ちゃんが待ち伏せしていたのは、このような制約もあったためです。
 逆に言えば、瞳子ちゃんには、祥子さまと何か内緒話をするために、その数少ない機会を必ずものにしなければならないような切迫した事情があったことを、推測することもできるのです。

 次には、「小笠原家の不幸」が「レイニー」の段階で予測可能であることから、瞳子ちゃんから見て祐巳がこの時点でどのように見えていたのかを考えてみようと思います。これがそのまま、「パラさし」での瞳子ちゃんの怒りととまどいに繋がってきます。

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コメント

冬紫晴さん、こんばんわ。
『パラソル』のあとがきを見るところ、この時の瞳子ちゃんは本当に嫌われていたようですが、私の場合『チェリブロ』よりも、こちらを先に読んだおかげで瞳子ちゃんというキャラを嫌いにならなくて済んだ訳だったりします。(最初に読んだのが『無印』と『レイニー』だったという強者でした→図書館にて)
『レイニー』であまりにも「どうか皆さん、彼女を嫌ってあげて下さいね!!」的に書かれていた為、この子の内面を知るまではどうしても嫌いになれませんでした。(でも、次の日に本屋さんに走ったのは言うまでもありません・・・)
余談ですが、『小公女』に出て来る「ラビニア」というキャラ(主人公セーラを苛める少女)も実は嫌いではなかったりします。 なぜなら、彼女の方がセーラよりも哀れ(セーラの方が味方が多い!)に見えるからです!! (まあ、この子のお陰で意地悪キャラに抗体が出来ましたからある意味、感謝しておりますが・・・)
でも『特一』を読む限り、彼女は未だに『レイニー』&『パラソル』の口論を引きずっている様に感じてしまえて、私が瞳子ちゃんにどうしても感情移入してしまうのは、瞳子ちゃんと祐巳ちゃんの思い出が多すぎるからなんですよ!! (私にとって「先着順」は本当に大きく占めてしまいます)
またしても長文になってしまいましたが、続きを楽しみにして参りますので、よろしくお願いします。

投稿: mikky | 2004年12月11日 (土) 02時55分

レイニーの時の瞳子ちゃんは「祥子さまの事情」を知っているわけですから、祥子さまが心配でなりません。
ですが、瞳子ちゃんは「心配している」なんてそぶりは絶対見せないわけです。結果、甘えている演技をして近くにいる。
瞳子ちゃんは、とにかく「世話焼き」であることは確かです。乃梨子ちゃんの時もそうとうなもんです。
「パラソル」あたりから対象が祐巳にシフトしてくるのですが・・・

と、私は想像しています。
ところで、ブログの模様替え、すてきです。

投稿: ワトソン | 2004年12月11日 (土) 03時59分

>mikkyさま
様々な作品での、いわゆる「意地悪キャラ」というのは、その背景に様々な事柄があることが多いですよね。確かにそれに一度さらされていると、即座に評価を下してその後その評価を変えないということは少なくなると思います。
また、彼女が「意地悪」に見えてしまった理由の一つとして、祐巳の一人称視点が挙げられます。こうすると読者としては視点を最初は固定させられてしまうのですよね。しかしこれには、必ずしも本文に書かれた見方だけではないことを保証するという、別の効果もあるのですよね。

>ワトソンさま
このデザイン、種を明かせばテンプレートなのですが(^^;ちょっとすてきなデザインですよね。

私の想像も同じです。これからその話になっていくので…その中で、それが単なる想像というわけではない根拠も挙げていこうと思います。そこを起点として考えていくと、さらにいろいろなことも見えてきますので、それについても触れていこうと思います。

投稿: 冬紫晴(管理者) | 2004年12月11日 (土) 12時45分

少し、先走ってしまいましたか。続きを楽しみしています。

投稿: ワトソン | 2004年12月12日 (日) 02時19分

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