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マリみて・瞳子ちゃんのこと(3)祐巳とのこと(2)瞳子ちゃんにはどう見えた?「BGN」

 教会の神父さまの薦めもあって、上智大学のカトリックセンターに行き、シスターに話を聞いていただきました。アドバイスもたくさん下さいました。これまでにない居心地の良さを感じるのは、果たして気のせいだけなのでしょうか。

 さて。
 祐巳が瞳子ちゃんにどのような視線を送っていたのか、あるいは、どのようにとらえられていれば「レイニー」でのすれ違いを回避できたのか、ということについては、ここでは敢えて触れないことにします。作品中、本人がある程度述べているとおりであって、ここで書いたとしてもそれは詳細を述べるにすぎないからです。また、ここではイベントのきっかけや条件となることを、誰かの行動や言動に求めることはあっても、それによって誰かを責めることを目的にしません。
 より重要なことは、瞳子ちゃんに祐巳がどのように映っていたかということを推測することにあります。たとえ、作品中で瞳子ちゃん視点の文章がなくても、彼女の発言や態度からそれを推測することは可能なのです。
 少し遡って、BGNでの話から始めましょう。

(1)初対決?
 作中で祐巳と瞳子が初めて顔を合わせるのが、「BGN」での薔薇の館でのことでした。祐巳はこのとき瞳子に対してやや嫌な印象を持ちましたが、瞳子ちゃんはどうだったのでしょうか。そのことについては特に何も触れられていないのですが、一つ考慮すべきことがあります。瞳子ちゃんはいつから祐巳を知っていたのでしょうか?
 「バラエティギフト」では、瞳子ちゃんは追いかけっこをしている祐巳を目撃していたことについて触れています。もしかしたら、祥子のシンデレラ(および柏木氏の王子様)と一緒に出ている祐巳のことは、誰とは知らずに見ていたかもしれません。祐巳が祥子さまのスールになって以降、少なくとも「BGN」の段階ではすでに知っている可能性はかなり高いです。「リリアンかわら版」はチェックしていたでしょうし。
 とすれば、このときは「同じ人を好きなライバル」として、牽制していたのでしょうか。
 もちろん、その意味も多少なりともあったでしょう。しかし、それだけではないのではと思うのです。そのとき想像が必要なのは、祥子さまが瞳子ちゃんに、祐巳のことをどのように、どの程度話していたのかと言うことです。
 祐巳が祥子さまのスールとなって以降、祥子と瞳子ちゃんが接触した機会はそれほど多くはなかったでしょう。そしておそらく、祥子は祐巳のことを第三者に話すときには、彼女のお祖母様に話していたのと同じように伝えていたのではないか、と、想像できます。瞳子ちゃんは、それを聞かされて、「祥子お姉さまがこれほど好きになる祐巳さまとはどんな人だろう」と色々想像していたのではないでしょうか。もしかしたら瞳子ちゃんは、「BGN」の瞳子ちゃんと同じような、どちらかといえば媚び媚びの人を想像してしまっていたかもしれません。
 この可能性をふまえると、「BGN」での瞳子ちゃんの態度は、牽制と言うよりもむしろ、ある意味冷徹さを含んだ、観察する視線…悪くいえば「不躾な」「値踏み」だったのではないか、と思うのです。それ故に、祐巳はそこに悪意を感じてしまったということです。冷静(冷徹)な観察眼は、嘲りと受け取られることもあり得ます。
 加えて、瞳子ちゃんは思わず(かどうかはともかく)笑ってしまいました。瞳子ちゃんが祥子さまからどんな話を聞かされていたかはわかりませんが、少なくともあの場のような、「使い走りとお局様」のようなやりとりは想像していなかった‐少なくとも、薔薇の館でこのような場面を目撃するとは想像していなかったのではないでしょうか。令さまがいたら突っ込みを入れていたような気がします。読者にとっても、少し笑ってしまうような場面ではありましたでしょう。瞳子ちゃんはそのままの反応をしてしまったわけです。 

(2)少し頼りない先輩?
 少し脱線しますが、先輩であるはずの人に対して「守ってあげたくなるような」印象を持った、という話が別の場面に登場しています。「片手だけつないで」での、志摩子さんが聖さまに対して、マリア祭の時に抱いた第一印象です。痛々しい、と評しています(「片手〜」Pp.157-158)。これをふまえた上で、学年が上の者に対しても、保護欲というか、放っておけないように見えることがある、ということから考えていこうと思います。
 「BGN」でも、やや違う態度で祐巳に接する瞳子ちゃんを見ることができます。乃梨子ちゃんを見に来た祐巳に声をかけるあたりです。そこでは先輩であるにもかかわらず派手にうろたえる祐巳がいました。そして昼休み、仲睦まじい志摩子さんと乃梨子ちゃんを見て切なくなってしまった(そしてそれがもろに顔に出た)祐巳がいました。これを見て、図らずも瞳子ちゃんは「この先輩のかわいらしさというのは、こんなことなのか」とか、「なるほど祥子お姉さまが好きになるわけだ」と、そう思っていたかもしれません。祐巳はそのとき、ややばつの悪い思いをしましたが、瞳子ちゃんは「新一年生憧れの的のお姉さまが、実はこんなかわいい人だったのだ」ということを知って、ちょっと得した気分だったのかもしれません。その時のちょっとした満足そうな顔が、祐巳には「訳知り顔」に見えたのでは、と、そんな想像もできるのです。
 だからといって瞳子ちゃんには、祐巳を先輩として尊敬・尊重する姿勢を忘れてしまうような様子はありません。敬語を欠かしたこともないのです。「レイニー」以降は、祐巳と話すときには自分をさして「瞳子」ではなく、「私」を使うようになっています。

 そういったある種の好印象は、「レイニー」で見事に打ち崩されてしまうのです。このときの祐巳の行動が、例えば瞳子に、あるいは第三者から見てどのように映ったか、次に紹介しようと思います。

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コメント

毎度、興味深く読ませて頂いています。
以前、『チェリブロ』で犯した瞳子ちゃんの罪に関しては許せないと言いましたが、私も祐巳ちゃんに対する態度はそんなに嫌いではなかったりします。
なぜならば、この巻は瞳子ちゃんの可愛らしい描写がいくつかあったりするからです。 例えば、P.186の「真新しい革の匂いがする学生鞄を抱えていた。」や、P.191の「瞳子ちゃんが突然立ち止まり、祐巳はその背中に軽く追突した。」や、二人で仲良く志摩子さんと乃梨子ちゃんを観察している所(ただ、瞳子ちゃんはかなりの洞察眼がある為、会って間もない人間には心を読まれるのはキツかったようですが・・・)など、想像するととてもいじらしく感じてしまいます!!
で、私自身も「瞳子ちゃんが祐巳ちゃんに対して興味があるのでは!?」と感じている場面があったりします。 それは、P.159で瞳子ちゃんが祥子さまに演劇部の経歴を話す場面(中二の時は『小公女』のセーラ役、小六の時は『眠り姫』)がありますが、確か祥子さまと瞳子ちゃんは長~い付き合いでしたよね!? 今更、話す内容でも無いにもかかわらず、話していたのは「隣に祐巳ちゃんが居たからなのでは!?」と私は強く思っています。
瞳子ちゃんってキャラは、考えれば考える程深みにハマっていきます。(『夢の宮』~叶の果実~で彼女の原型ともいえるキャラが出てるってだけで読んでしまうほどです!!) 何しろ"女優”ですからね!! この子の面白さはわかる人にしかわからないでしょうが・・・ いつの日か『マリみて』内でも、彼女の内面描写が読めると嬉しいのですが、あえて作者は彼女の視点を書かないのでしょうね!!(まるで私を罠に掛けたようです!!)

投稿: mikky | 2004年12月15日 (水) 05時24分

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