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マリみて「薔薇のミルフィーユ」のこと:何編かの「きょうだい」のお話

 海外遠征(?)から戻って参りました。「わずらわしいものを排除してあります」という宣伝文句のもと、テレビも新聞もない環境に1週間いたせいで、色々なニュースに乗り遅れました。しかしですよ、ネット環境はあったのです。書き込みすらできたのです。それにもかかわらず色々知らないニュースがありましたね。…それを気にしないでいられたから、ある意味で休むこともできましたし、充実した時間を過ごせたというものでもあるのですけれどね。

 マリみてのことで、くだらない話を一つ。
 「特別でないただの一日」で、可南子ちゃんが女装した祐麒を見て「この『間違い探し』にはいったいどんな意味があるんですか」という場面(Pp.47)、ありましたよね。
 あれ…可南子ちゃんは…冗談を言ったつもりだったのでは…???
 つまり。可南子ちゃんは致命的にギャグが下手なのではないのかという。

 気を取り直して。「薔薇のミルフィーユ」感想です。

 さて、新刊「薔薇のミルフィーユ」に関して考えたことを少しずつ書いていくことにしましょう。時期的にネタバレが早いかもしれません。ただ、放っておけませんので。
 今回のお話は、ミルフィーユ同様の「食いにくさ」と「ボリューム」があったと感じます。3つのお話のオムニバスになっていますが、「レイニーブルー」以上に、それぞれの「薔薇姉妹」の特徴が際だっていると感じるところも多く、様々な節目を感じさせる部分もありました。特にその面が際だっていたのは紅薔薇さん家です。そしてその理由も明確にされています。その意味でも、この3つの物語は面白いのです。
 そして、この3つのものがたりによって作られた本編は、「レイニー止め」よりもずっと重い作品となっておりましょう。たとえそれがお菓子としてのミルフィーユの体をなし味付けがされているものだとしても、です。
 今回は特に、ある意味ではじめから明確でありながら、あまり意識させてこなかった部分であり、「ミルフィーユ」でスポットが当たった部分について書いていこうと思います。

 作者は後書きにおいて、3つの物語には同じ部品が組み込まれている、と言及してます。そこに挙げられていなかった例の一つとして、「きょうだい」がありましょう。

 改めて読者に対して突きつけられたのは、黄、白、紅それぞれのスール関係が置かれている状況の根本的な違いです。すでに何度も、というか、本編の話の中で基本的な人間関係としてストーリーを作るのに重要な骨格をなしてきましたが、それにどのような意味があったのか、改めてよく見てみよう、ということが、「ミルフィーユ」では可能になっています。

 黄薔薇姉妹、支倉令&島津由乃の場合、最新刊本編を引用すれば、間違いなくこのように言えましょう。

由乃:「~本当の姉妹(ルビ:きょうだい)みたいになっちゃうの」Pp.52

 これはこの二人の関係を最も端的に表しているでしょう。そのために、ある事柄を気にすることがほとんどなくなります。

 白薔薇姉妹、藤堂志摩子&二条乃梨子の場合の特殊事情は、このようになります。

乃梨子:「~志摩子さんには今年度卒業するお姉さまはいないんだし、私っていう妹(ルビ:プティ・スール)はもういるんだし。紅薔薇・黄薔薇とは同じにはならないよ」Pp.90

 この2組に対し、紅薔薇姉妹、小笠原祥子&福沢祐巳は、大きく異なるわけです。祥子は間違いなく卒業し、祐巳にはプティ・スールがいません。いとこ同士にしてお隣さんであり本当のきょうだいみたいである訳でもなく、先輩-後輩等々の関係の延長にすぎません。
 引用はここではしませんが、Pp.189の祥子の台詞は象徴的でありましょう。

 そこにきて、「ミルフィーユ」の第何層かわかりませんが、紅薔薇姉妹のお話は、ユキユミな私にしては夢にまで見た、祐巳・祐麒きょうだいと祥子・柏木優「きょうだい」のデートのお話になっていました。まあもちろん、出だしのところでは紅薔薇姉妹と祐麒・柏木という組み合わせですが、お話全体としてはきょうだいときょうだいのお話になっておりましたでしょう。
 ネタバレになりますが、白薔薇姉妹のお話にも、きょうだいが登場します。それも、一筋縄ではいかない様子です。
 黄薔薇姉妹のプティ・スール候補、菜々ちゃんは、4人姉妹の末っ子です。…「4人の姉妹(若草物語)」のエイミーと同じですねぇ…

 祥子と柏木優の関係が、ある種「きょうだい」的であることは、特に「長き夜の」の寿司の交換など様々な場面で匂わされます。そして、「ため息」を読んだ方はおわかりと存じますが、このエピソードでは決定的な会話があります。
 それは同時に、祐巳と祐麒の関係や、柏木と瞳子ちゃんの関係、瞳子ちゃんと祐巳と祥子の関係などとも対照されながら語られます。

 これらの「きょうだい」関係が、それぞれ好対照をなしておりましょう。

 次は…どこからいこうかな…内容てんこ盛りですからね…
 たぶん、そのとき書きやすいところからいくことになるでしょう。予定は未定ということで。

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受信: 2005年7月14日 (木) 23時27分

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