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久しぶりのマリみてのこと:解決の罠

 大変ご無沙汰致しました。
 さすがに博士論文を書くというのは大変な作業で、ようやく一段落したのですが、その後疲れが吹き出し、体調を崩し、文章を考えるなどできない状態になってしまいました。そのうえ、ゲームにハマり、「マリみて」のことなど考えていなかったのでした。
 しかし、それ以前、「ミルフィーユ」が出てからしばらくの間考えていたことについて、このところ突然一つのアイデアが浮かび、文章を書ける状態にもなり、久々にやってみようと思い立ったところなのでございます。

 祐巳と祥子の関係について、彼女らに共通する「課題を何とかするときの癖」のようなものがあるのではないか、と考えたのです。それは、佐藤聖の「びっくりバレンタイン」でのアドバイスが的はずれである可能性を持っているということです。
 確かに、聖さまのアドバイスは一つの方法としてあげられるとは思いますが、やや読み違いがあるのではないかということが、祐巳の一人称視点を読んでいる読者としては見えてくるのではないか、そう考えるのです。

祐巳の悪い癖は、「相手に自分の感情、思いをぶつけず、しまい込む」ということは指摘されていますが、それだけではなく、「課題を解決したつもりになりたがる」ということが挙げられるのではないかと思っています。しかもそれは、合理的といいますか、周囲のアドバイスを受けたり、自分で何らかのアクションを起こして解決しようとするのではなく、独り合点して、「これが結論である」と勝手に思いこんでしまうということです。これはもしかしたら、若い子……学生時代の人たちには多く見られる事柄かもしれませんが、すれ違いや誤解の大きな原因になります。
 その傾向は、「黙って腹を立てている」祥子にもあり、コミュニケーションがうまくとれないがために相手の感情を読み誤ったり、勝手に解釈してそれが正解と思いこんでしまうため、特に「大切に思っている」愛でである祐巳とは、皮肉なことに大きなすれ違いも発生するのではないか、と感じます。
 実際、「びっくりバレンタイン」では、山百合会幹部に疎外感を感じた祐巳が勝手に「迷惑ではないか」と思って合うのを避け、そのことを祥子が「祐巳が自分を避けている」と感じ、その結果「嫌われた」という結論を出してしまったことによってこじれていくわけです。これは、「相手に感情をぶつけない」ことによって起こっているというだけではなく、「現状を勝手に判断して、結論を出してその結論に傷ついた」ことによって起こっている、というのが核にあるのではないか、と思うのです。
 それはもちろん、「レイニー」~「パラさし」においても全く同じことが言えます。

 全体の状況を判断できるのは、それだけ広い視野、多くの視点を持ち、また、状況に深く巻き込まれていないからこそ可能なのかもしれません。それ故に、山百合会が3つの薔薇の色によりある種の独自性を持っているのは、それを保証する一つの機能かもしれません。そのことは、奇しくも「妹オーディション」で、由乃の祐巳評あるいは志摩子評によって明らかになります。また、「白い花びら」における仙台白薔薇さまと「蓉子ちゃん」などにも、それが見受けられます。

 この、互いに独り合点して誤解していくある種のループ、絆が深いようでいて、それは互いの一方的な好意であってコミュニケーションが実はうまく成り立っていないところがある状態-というのが、現状だとして、それに対して柏木は「上のステージ」(上、と言ってしまうのが彼の悲しいところではないかと思いますが)つまりそのような状態を脱することを示唆し、弟の祐麒も、非吐露合点して落ち込む祐巳を支えようとします。異なるアプローチは、別の面を引き出すものでありましょう。

 ようやく、これで「びっくりバレンタイン」での聖さまのアドバイスの持っていた違和感がわかってきた気がします。

 まあ、それ以上に私は、「ミルフィーユ」での、柏木と部屋に二人きりで話していた跡に祐麒が入ってきて、祐巳が自分のセーターの胸のあたりを握りしめて…かばうようにして部屋を出たところがすごく気になっている(気に入っている)のですが…あれは何だったのかしらね?まだはっきりしないのですよね。…祐麒のシスコンも確かですし、祐巳のブラコンも確かだと思うのですが…

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