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笹原/荻上と祐巳/瞳子:「何もしない」をするということ

……

荻上さんかわいい〜〜〜!!!

 「神戸在住」が気になって購入した「アフタヌーン」2006年2月号なのですが、「げんしけん」の笹×荻、特に荻上にハマってしまいまして。「げんしけん」単行本4〜7巻まで一気に買ってしまいました。……荻上がよかったんで。こういうのに弱いですね、わたしゃ。「新世紀エヴァンゲリオン」のアスカといい、荻上といい、瞳子ちゃんといい……
「萌へ」というのはちょっとちがう気がして、先の言い方になりました。

ツンデレ?(最近まで知らなかったですよ、この用語)

いやいやいや。
その「ジャンル」のようなもので一刀両断することはできません。
共通点があるとはいえ。

 特に、荻上に関しては(ごく)軽症の(心的)外傷後ストレス障害(PTSD)である可能性が高く、それによって感情や表情の表出、行動など様々な局面に障害が発生している状態がそのように見えるだけ、と見ることも可能であるため、その分類は避けるべきだと考えています。このことは一応DSM-IVの診断基準を参照して確かめました。一つ当てはまっていない項目はありそうですが、それ以外はすべてが当てはまりますので。(作者がこれを意識してキャラクターを「設計」したかどうかはわかりませんが)
 そう言えば、「神戸在住」の桂も、それに当てはまるかもしれませんね。かなり後をひきましたし。

 一方、「マリみて」に関していえば、かわいいというよりもずっと気になっているの瞳子ちゃんのことですが、彼女の表情について、具体的に(現実的に)どのようなものなのか、なかなか想像できずにいました。
 それを、「げんしけん」の荻上さんに、より想像しやすい表情として発見できました。不機嫌なような仏頂面、不快にも見える表情など、祐巳に対するときの瞳子ちゃん同様の表情を見せてくれます。また、「妹オーディション」で乃梨子に見せた、あるいは「白地図」で祐巳に見せた「恐い顔」についても、例えば「げんしけん」7巻P.182の表情などと比較することで想像ができるようになってきました。「白地図」の挿絵だけでは「足りなかった」ので……

 確かに、「キャラ属性」なるものを便宜的に考えれば瞳子ちゃんと同じような分類になるかと思います。ただ、重要なのはそのような分類ではなく、そのときの彼女の状態や、彼女を取り巻く状況にあると考えます。

 特に、私が「荻上さんかわいい」にはまってしまった、「アフタヌーン」2006年2月号に掲載された「げんしけん」には、実に面白いものがあります。

 ここでの状況を説明します。登場事物としては、主人公である笹原と荻上さん。二人は同じサークル「現代視覚文化研究会」通称「現視研(=げんしけん)」に所属しています。笹原はその前会長です。
 笹原・荻上は実際には互いに好意を抱いているのですが、荻上さんは様々な事情があり強情、笹原は晩生ということもあってなかなかうまくコミュニケーションが取れない。しかも、作品の中では「ここ最近全く口をきいていない」状態。
 笹原の就職内定が決まったあと、の旅行中に、飲みすぎで二日酔いになった彼女(荻上さん)に、笹原は(多少強引に)付き添わされます。で、笹原がどうしたかといえば、ベッドサイドにいるわけではないのです。特別に彼女のために何かした、という感じは、一見ありません。
 ところが、荻上さんは目を覚ました後で笹原に、こんなことを言います。

「何でいるんですか」「こんなことされたら私 どうしたらいいかわからないじゃないですか」

 その後の展開もよく似ています。この機会を捉えて笹原は好意を告白するのですが、事情を抱えている荻上さんはそれを拒絶し、逃げ出してしまいます。 

 ここでは笹原の行動に注目します。

「何もしていない」ようでいて、彼女は「こんなことされたら」と言う。では、彼は何を「した」のか。

一緒にいたんです。

それだけです。

 しかし、一緒にいる「だけ」というのは相当に難しいのです。
 それは多分、コミュニケーションのひとつのあり方です。ところが、何をやり取りしているのかといえば、これが難しい。「温かい心を伝える」ということはあるのでしょうけれど、そのためにどうしても話しかけたり、世話を焼いてしまったりすることも多いでしょう。例えば、「妹オーディション」以降の乃梨子ちゃんが、瞳子ちゃんに対していろいろ気を使ってから回りしているとか、そのようなことです。乃梨子ちゃんに関しては、これまで(「銀杏の中の桜」以降では)そつのない行動を取ってきた彼女にしては珍しくあたふたしています。それもまた一つの「成長」と呼べる変化だと考えます。少なくとも「望ましくない変化」ではありますまい。
 で、「げんしけん」での例での笹原は、それをしない。ある意味ではボケーとしているようなのですが、実はコミュニケーションをとっているんですね。それが、彼の優しさや暖かさというものを確実に彼女に伝えてしまい、それに対して彼女は「どうしたらいいかわからなくなる」。戸惑う。

 ここで翻って、ようやくマリみて「未来の白地図」の話になりますが、祐巳も、みき、祐一郎(福沢家の両親ね)も、柏木も、可南子ちゃんも同様のことをしています。

瞳子ちゃんが福沢家を訪れた(福沢家に拾われた??)とき
みき:瞳子ちゃんの言葉に喜ぶ
祐一郎:瞳子ちゃんの何気ない(であろう、しかし重要な)言葉(「祐巳さまは、お家では何でもお話になるんですね」)に誠実に応じる
祐麒・柏木:祐麒は柏木に一報入れ、柏木は車を用意し、瞳子ちゃんが「帰る」と言い出すまで待っている

クリスマスパーティー後
祐巳:パーティーを一人、そっと気付かれないように抜け出す瞳子ちゃんを見つける/一緒に歩く「だけ」

 祐巳が1場面しか出てきませんな。ただ、これは「白地図」における事柄だけであって、「BGN」からここまでずっとたどっていけば、いくつも出てくるでしょう。

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受信: 2006年1月20日 (金) 23時00分

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 荻上の問題は、基本的には第8巻の終わりで解決している。とはいえ、それはあくまで「げんしけん」というコメディタッチのマンガにおいてのことだ。別種の物語あるいは現実の問題としてとらえるなら、予断できない状況は終わっていないといえる。  先日、荻上が軽症のPTSD(心的外傷後ストレス障害)である可能性を指摘するページ(あとここ。同じ人によるページだ)を見た。私は知識はないのでふむふむと読んだ。  ここから「げんしけん」のマンガ世界から乖離した空想として書く。  PTSDかどうかはともか... [続きを読む]

受信: 2006年10月11日 (水) 01時14分

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