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胸が張り裂けて、あふれ出すものは

ごきげんやう。

……

東京で仏像展があるんですよ。
HPはこちら。
ポスターがね、すごかったんです。
乃梨ちゃん間違いなくへばりつきそうな。

さて。長文です。 前の記事に対するコメントを書いているうちに考えがまとまってきたことがありました。

瞳子ちゃんが「家出」をしたときに、具体的に彼女がどんなことを感じて、感情が決壊して(=堰を切って)あふれてしまったのか、ということに関する想像です。これまでの、瞳子ちゃんの抱えているであろう「自分の居場所に対する根拠の薄さ」「自分が居るということに対するあやふやさ」と関わる話になります。
 これを「最悪の根拠」と呼んでいるのは、これが根本的な不安感を醸成することが多いと考えているためです。
 
 まず、「白地図」〜「扉・鍵」から推測される両親・祖父の決定について整理しておきます。
 柏木がうやむやにしつつ答えたことや(「扉・鍵」)、瞳子ちゃんが志摩子さんに相談した内容(「白地図」)、「家業を継ぐ」事に関係あることはわかります。瞳子ちゃんが白地図の喩えを使って「人生を思うように生きられない人もいる」と言ったことから、この時点で「祖父が瞳子ちゃんに自分の持つ病院を継がせたがっているが、瞳子ちゃんはそれに反発している」という予想を立てた方も多いようでした。
 私はこれに対して何となく違和感を持っていました。その理由のひとつは、瞳子ちゃんがリリアン女学園に通っているということでした。リリアンから医師へ、という進路があまり現実的に思えなかったのです。
 また、病院を継ぐというとき、医師になる必要がないことも知っていました。病院や診療所は、「開設者」と「管理者」がいて、管理する者はもちろん医師でなければならないのですが、開設する……病院をつくって経営する者は医師でなくてもいいのです。そのような者は、医師を雇って管理させればいいのです。

 そのため、私が可能性が高いものとして予想していたのは「瞳子ちゃんのお見合い」でした。どの程度の成績を収めているかわからない瞳子ちゃんを「医師に育てる」より、信頼できる医師を婿養子に迎える方が確実で現実的だと考えたのです。

 しかし、それでも腑に落ちない。結局これは先送りにしておりました。
 そこにきて、「扉・鍵」で瞳子ちゃんの秘密……松平の両親の実の子ではない、ということが判明したわけです。

 さらに、そこにはこんな事も書いてありました。
 
P.49 清子「〜病院の方はうまく行きそうだって、柏木のお義姉さまがおっしゃっていたわよ」/「まあ、そういう動きではあったんですがね」/どうも瞳子が反対らしくて、と優さんは言った。
P.50 祥子「〜お祖父さまやご両親は、瞳子ちゃんにお医者さまになれって強要しているわけではないのでしょう?」/優「言っていないね」

 ここだけでは何が起きているのかはっきりしませんが、さらに読み進むと、こうあります。
 
Pp.114-115 瞳子父「いつから気づいていたのかは知らないが、十六のお前が一人で抱え込むには、あまりにも重い荷物だったろう。それは私たち親が負うべきものだ」/〜「だからパパは、今でもお祖父さまの決定に賛成だ(*)」/〜「お前は、自分が何者かなんてことを考えずに、真っ白なキャンバスに自由な人生を描くべきだ(*)。……パパがそう願うのは、お前を見捨てたからじゃない。〜」
(瞳子)だったらどうして、瞳子が必要だと言ってくれないのだろう(*2)。/「もらうだけもらって、それでいいの?」/「瞳子は何も返せない(*2)」

 瞳子父の(*)の発言から、瞳子父と祖父の意見が一致していること、そしてそれが瞳子ちゃんが彼女自身の進みたい道を進ませたい、という意見であることがわかります。このことから、瞳子ちゃんのお父様やお祖父さまが、瞳子ちゃんに病院を継がせようとは考えていない、むしろ瞳子ちゃんが一番好きなことをさせてあげたい、という意志を読み取ることができます。
 それに対して、瞳子ちゃんが反発しているのです。それが(*2)のモノローグや発言からわかります。その理由は「自分を必要だと言ってくれない」「注いでもらった愛情に見合うだけのものを自分には返せない」ということであることも読み取ることができます。
 これらを考えると、「父や祖父は継がせたがっているが、娘が継ぎたくないと反発している」という、言ってみればありがちなこととは全く逆のことが起こっている可能性が非常に高い。父や祖父は継がなくてよろしい、自分の道を進みなさいと娘に勧めているが、娘の方は継がせてくれないことに反発している。ここで、瞳子ちゃんが「もらうだけもらって、それでいいの?」「瞳子は何も返せない」と言っているため、財産分与は全く普通に行われると見ていいでしょう。むしろ、それはもらいすぎだ、と瞳子ちゃんは反発するわけです。

 瞳子ちゃんが「継がせないという決定に反対する」最も大きな理由が、物語を読む上で非常に重要になります。注目すべきは、瞳子父のこの発言、そして、瞳子ちゃんのこれらの発言にありましょう。
 
P.114 瞳子父「〜……パパがそう願うのは、お前を見捨てたからじゃない。〜」
P.115 瞳子(モノローグ) だったらどうして、瞳子が必要だと言ってくれないのだろう。

 これには前振りがあります。演劇部を飛び出した瞳子ちゃんを祐巳が諭そうとして、結局どちらにも出るようにさせてしまった場面です。

「特別でない〜」P.88および「ジョアナ」(インライブラリー)P.62
瞳子「私は必要ないということですか」
「ジョアナ」では加えて
同 『とりかえばや物語』をやめて演劇部に戻れ、だなんて。薔薇の館の人々は、どうしてそんな残酷なことが言えるのだろう。/〜「山百合会にはいらない」と言われたみたいで、傷ついている自分がいる。/何を嘆くことがある。ここも私の居場所ではないというだけの話。どうにでもなれ、と、またこちらからうち捨ててしまえばいい。

 文字色を赤にした部分はすべて、「自分は必要ない」「いらない」「見棄てる」「棄てる」などの要素を含んだところです。事が文化祭の演劇の役どころの話にしては「残酷なこと」など、強い言葉が強い調子で用いられています。
 「扉・鍵」からここで取り上げた会話には、これらの要素が入っているわけです。
 このことから、瞳子ちゃんの家出のとき、具体的にはどのようなことが起こったのかについて、次のようなことを想像したのです。これは、前のコメントを書くまで全く形になっていなかったことでした。
 
 瞳子ちゃんと両親が病院を継ぐ継がないの話をしていたとき。「お前はそんな(病院の)ことを心配する必要はないんだよ」とか「瞳子ちゃんには、家のこととか病院のことは関係なく、自分の好きなことをやって欲しい」などの発言があって、そのときいつもならやり過ごしていた単語に引っかかってしまい、
 「どうせ私なんかいらないんだ」「必要ないんだ」
 というところから、
 「だって、最初からこの家の子供じゃなかったんだし」「私はお父さまとお母さまの子供じゃないから、関係あるはずないわよね」
 「いらないんだったら、こっちから出て行ってやる」
 ということになった……
 のではないか。
 
とりあえずこのあたりで。書くのもつらいものですよ……

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