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不都合なデータ

報道されない「不都合なデータ」がある。
別に隠されているわけではない。
ただ、文科省は伝えなかった。
これを知ったのは朝日新聞2007年3月26日朝刊11面の本田由紀氏のコラム「いま 若い人たちへ」である。これで引き合いに出されなければ私も知ることはなかっただろう。
このデータが漠然と感じている何かを裏付ける。

UNICEF(国際連合児童基金)のイノチェンティ研究所の「
先進国の子どもたちに関するレポート(An overview of child well-being in rich countries)」
ここにあるPDF。
掲載されたデータの一つ(Table 6.3b)。

これが引用したデータはOECD(経済協力開発機構)下のPISAの2003年のもの

PISAというのは、Programme for International Student Assessmentの略だ。
PISA2003のデータベースのトップにあるとおり、この調査は学習到達度にのみ焦点を当てたものではない。しかし、文科省はこれを「生徒の学習到達度調査」として、学業の成績以外のデータをHPにすら公表していない。

ここで隠されたデータで特徴的なものをいくつか。これは、特定の質問に対し、1, Strongly Agree(全く、強くそう思う) 2, Agree(そう思う) 3, Disagree(そうは思わない) 4, Strongly Disagree(全く、強くそう思わない)の4段階で評価するというもの。対象は15才の学生。統計から推測した事柄に関しては検定をしていない……統計学に慣れておらず失礼。

ST27Q02; My school is a place where:I make friends easily.(学校は友人が簡単にできる場所である)
平均では 1:26.95, 2:60.35, 3:9.34, 4:1.64
日本では 1:22.42, 2:54.06, 3:19.37, 4:3.38

ここでは「3(そうは思わない)」の回答率。日本ではOECD各国平均の倍以上の数字になる。学校では友達ができない、と感じている割合が高いと言うことか。

ST27Q04; My school is a place where:I feel awkward and out of place.(学校とは、自分が気まずく感じる、場違いな場所である)
平均 1:2.14 2:7.48 3:43.87 4:42.91
日本 1:3.92 2:13.85 3:58.32 4:22.81

本田由紀氏は「2(そう思う)」の率が倍近いことをあげていたが、それよりも「4(全くそう感じない)」率が各国平均の半分、というところにも注目したい。……場違いな場所ではない、と言いきれないということか。

ST27Q05 My school is a place where:Other students seem to like me.(私の学校では、他の生徒は私のことを好きだと思っているように感じる)
平均 1:14.88 2:68.17 3:11.29 4:2.38
日本 1:5.39 2:68.15 3:27.29 4:3.54

注目すべきは1(強くそう思う)と3(そう思わない)。日本では1の回答は各国平均の3分の1程度、3の回答は倍以上になる。学校で好かれていないと感じる学生の割合が高いことになる。

ST27Q06 My school is a place where:I feel lonely.(私の学校は、自分が孤独を感じる場所である)
平均 1:2.28 2:5.61 3:33.89 4:54.88
日本 1:9.85 2:19.66 3:50.81 4:19.14

これはもう、すべてにおいて差が顕著だ。「強くそう思う」「そう思う」率は平均の4倍近く。実は2番目に多い国の率から見て3倍近いと報告されている。この数字は飛び抜けて高い。

日本でこのような統計を取ると、多くが「真ん中」(どちらともいえない)を選ぶ傾向が強いというバイアスがあるとはいえ、それを考慮しても、これらの差を無視することはできまい。

これに基づいて、UNICEFが先進国の子供の状態をまとめたのが、今年発行されたイノチェンティ研究所のレポート。
孤独感、場違い感(所在なさ)、人間関係を難しいと感じる割合など、突き詰めれば「自分などいらない」絶望感につながる、「死に至る病」の種を持つ子供(10代)の数(確率、割合)が飛び抜けて多いことを意味するのではないか……

アニメではすでに警告が何度もなされていた。エヴァンゲリオン然り、serial experiments lain然り、ゲド戦記然り……挙げればきりがない。

マリみてファンもお気づきだろう……佐藤聖である。藤堂志摩子である。蓉子さまに出会う前の小笠原祥子である。手術前の島津由乃である。細川可南子である。松平瞳子である。(それぞれの根拠は異なるものの)
彼女らはリリアン女学園で、薔薇の館で救われた。
これが「マリみて」の求心力について、最も大きな源の一つではなかろうか。

それらの声には全く耳を貸さず、「古き良き」やり方こそ至上と考え続けた世代の人類補完計画教育計画によってさらに事態は深刻化してきた可能性が高い。今の内閣での人類補完委員会教育再生云々だとかの様子を見れば、これからさらに悪化することも間違いなかろう。

「マリみて」内で、それぞれの登場人物の所在なさ。孤独感をいやし慰める方法は、一つとして同じものはなく、それでいてすべて同じ何かを共有しているだろう。
しかし、それはそう簡単にできないことである。リリアンだからこそ、「薔薇の館」だからこそ成し遂げられた「神業」であろう。

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 マリみて最新刊を今更読んで感想を渉猟しつつ見かけた「日本の中学生の孤独感」という話題について。  引用は部分的なので、一応先に原文に目を通して頂ければと。 ◆不都合なデータ@「マリみて」解題の試み これに基づ... [続きを読む]

受信: 2007年4月25日 (水) 22時00分

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