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「異国迷路のクロワーゼ The Animation」総評

日本人の女の子、湯音がパリの街にやってきて触れる様々な物語、というのがこの物語の全体像といえるだろう。その中で、主人に当たるクロードやオスカー、日本に憧れるアリストの交流が描かれ、その交流の中で触れる様々な出来事二同心を動かされていくか、という物語である。
 

湯音はずっと和服のままで、パリに馴染もうと洋服を着るということがなかった。また、小さな商店街であるギャルリ・ド・ロワの外へはほとんど出ていかな かった。ギャルリの外へ出るときは必ず、クロードかオスカーが一緒についていっているか、アリスに連れ出されているか、という状態だった。和服は歩き方を 強く制約する。アリスやカミーユは体型をコルセットで矯正している。こうやって並べていくと、主人公らの行動や動きはずいぶん制約が多かった作品だという 印象がある。その制約の中でどう行動し、判断し、様々なものに触れていくか、ということになるが、触れられるものが限られているということはない。
 もちろん、広いパリの中のごく小さな商店街だけの物語であるから、触れられるものがある範囲は狭い。しかし、範囲が狭くとも、そこで起こる事柄が少ない ということは意味しない。また、触れ合う者たちが少ないということも意味しない。人が暮らす中で触れ合う人々というのは、実は商店街の人々くらいに人数で はなかろうか、と思うこともある。例えば、年賀状をだそうとして百枚を超えることもあるかもしれないが、しかしその中でずっと親しく付き合っている者は数 えるほどであろうし、パソコン上のコミュニティで何百人と知り合いになるといっても、その中で実際に出会い、親しくする人数は限られてくるのではないか。 今現在を生きるという事を考えると、たくさん言葉を交わしたり、深く心を通わせたりする人数は湯音が商店街やアリスと付き合う程度の人数がほどよい加減の 人数ではなかろうか。それくらいであっても、人同士の心の交流は豊かにあるものであり、体験できるものも数多いように感じる。むしろ、その程度しか私たち は体験できないのではなかろうか。いくら海外へ行くことが多くても、多くの人と接して生きていようとも、思い出の全体量や体験の濃密さを考えると、その程 度が精一杯なのではなかろうか。
 もう一つ、この作品では文化交流という側面もあった。湯音の持っている日本の文化と、周囲に広がるパリの文化、その違いと交流が描かれた。「違い」と 「交流」は、「違う」ことを前提にしているが、それが伝わらない、分かり合えないほどのものではないことを意味している。文化は決定的な違いであるようで いて、理解しよう、交流しようとすれば交流で来てしまうという性質があるのだということを、この作品では描いている。実際のところ、文化の違いが決定的な 違いとなって物別れに終わったりすることもあるが、湯音はギャルリの「家族」になろうと努力していた。その努力が身を結んだということが、この作品のまた 別の意味を生み出している。
 湯音の仕草は可愛らしい。身体が小さく、目は漆黒で大きく切れ長、そして和服が制限する体の動き。和服は体の動きを小さくする。その小ささが可愛らしさ につながっている。それに対して、例えばアリスは碧眼でどちらかと言えば垂れ目、大きく動く自分の気持ちを隠すことなく体を大きく動かして表現したり、ど ことなく大げさとも言えるような動きを見せる。この対比もまた、湯音の動きを可愛らしく見せる。湯音の動きの可愛らしさは、アリスの奔放な動きの可愛らし さを引き立て、アリスの奔放な動きはカミーユの洗練された動きを優雅に見せる。また、彼女らの動きはどちらかと言えば粗野とも言える、ぶっきらぼうなク ロードの動きをも引き立たせる。クロードの若く荒削りな動きは、年を経て熟したオスカーの動きを鷹揚なものに見せる。それぞれの動きの特徴が、それぞれの 動きを際立たせている。
 これは、前に挙げたような文化差の一つでもある。文化は単に社会的なものではない。それぞれ個人が持っている特徴もまた、それぞれの持っている文化であ るといえる。この物語は、そういった文化の違いをぶつかり合わせながら和合させ、心の交流をもたらし、「家族」になっていく様子を見せた作品であったろ う。

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